4 - 1. ホログラフィの概要
立体写真や,レーザ写真として知られるホログラムであるが,その基本的なプロセスは基準となる光波にコヒーレント光で照らされた物体からの拡散光を重畳することである.この重畳されたコヒーレント光が形成する干渉縞は通常写真乾板と呼ばれる透明なガラス板の上に感光性の乳剤を塗布したものや,フィルムに記録される.こうしてできた透明な原板がホログラムである.

図 4.1 ホログラムが記録された写真乾板
(中央部分に干渉縞が集中しており黒く見える)

図 4.2 ホログラム撮影のための光学系の例
(フレネルホログラム)
物体からの拡散光だけが乾板に到達してもそれは一様に黒くなるだけであって,立体感は全く得られない.基準となる光波は参照光,参照波と呼ばれ,これは物体からの光の搬送波の役目をし,変調を与える.この変調には振幅の変化だけではなく,位相の変化も含まれ,これが立体感を与える要因となる.この様にして物体を表すこれらの振幅と位相の成分は参照光を基準にして記録されたことになる.
この様にして得られたホログラムに,逆の操作,すなわち復調を施すことによってもとの光の成分に仕立て直され,3次元の像が再生される.現像された乾板を適当に照明しながら透かして見ると物体の像を観察することができ,その像を写真に撮影することもできる.
図 4.2 にフレネルホログラムの光学系を示す.
(a)撮影モデル
(b)再生像
図 4.3 ホログラムの再生
(a)撮影
(b)再生
図 4.4 撮影と再生
図 4.3 に本研究の過程で試験的に作成したホログラムの再生像を示す.図(a)の模型をホログラムに記録し,それを再生したのが同図(b)である.この例では画角の関係から模型の一部のみが記録・再生されている.二つの光源から出た光線束の干渉条件を定めることは,波の重畳の原理を適用することになる.これは実際には二つの事柄で言い表される.すなわち光源はその幾何学的広がりが小さくなければならないこと,さらにその放射は狭い波長の範囲内に限られていなければならないことである.干渉は同時にただ一つではなく多数の空間成分または時間成分が関わり合うときにも,もしそれぞれの分布の幅が小さければ起こる.